幼児期から英語教育をすると母語の発達が遅れる?

GrapeSEEDの考え方は 「Think in English, Speak in English(英語で考え、英語で話す) 」 です。
これは私たちが普段「日本語で考え、日本語で話す」ことと同じです。

そのためGrapeSEEDのクラスは「英語は英語だけの環境」で学ぶレッスンを徹底しています。
これもまた、私たちが「日本語を日本語だけの環境」で身につけたことと同じ考え方です。


数十年前までは、幼少期に二か国語を学ぶと、子どもが混乱し母国語の言語発達が遅れてしまうと考えられていました。
しかし、専門家の長年にわたる研究の結果、それは全く逆で子どもたちが複数の言語を学ぶことには大きなメリットがあることが分かっています。

二つの言語を話せる能力をもつ「バイリンガル」の子どもたちの脳に関する結果を元に、その真相を見てみましょう。

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GrapeSEEDの開発に影響を与えた神経学者であり教師でもあるジュディ・ウィリス博士による「Bilingual Brains」(バイリンガル・ブレインズ)の記事をご紹介します。

ここでは、バイリンガル教育と子どもの認知発達を専門とするカナダの心理学者・教授のエレン・ビアリストクの研究が注目されています。
その研究結果は、バイリンガルの子どもとモノリンガル(一か国語を話す人)の子どもの脳のスキャンを比較したところ、バイリンガルの子どもの脳のMRIスキャンでは、実行機能(ワーキングメモリ、推論、タスクの柔軟性、問題解決、計画、実行などの認知プロセスの管理)において高いレベルで見られた、というものです。
具体的には、前頭葉の中にある思考や意識に関連する部分である「前頭前野」と、発話や言語理解に関連する「ブローカ野」の活動が高まっていることが分かりました。

ウィリス博士はビアリストク氏のような研究者の解釈について、
「バイリンガルの脳は、“異なる言語システムを認知し精査する“という困難な処理に大きく関わっていることが示唆されます。 この処理を実行するには、使用しない言語を意図的に抑制し、使用する言語に集中することが求められます。 」
と説明しています。

つまり、二つの言語の混乱を避けるには、脳の中で使われていない方の言語を遮断し、使っている言語に意図的に集中している状態を作る必要があるということです。
GrapeSEEDが「英語は英語で学ぶ」ことを徹底しているのも、そのためなのです。

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さらに、
「彼らの脳は、言葉の意味だけではなく、文法、文の構造やその種類、言語特有の発音やニュアンスなどを精査し判断する必要があります。 」
との言及もあります。
言語を切り替えるときに行うこのような脳の運動は脳を鍛えることに結びついており、
認知機能テストのスコアにおいて、バイリンガルの子どもたちの方がモノリンガルの子どもたちに比べて高いスコアが出たことに大きく関連しています。

この点ついては、バイリンガルの神経画像を調べた別の研究でも明らかになっています。
この研究ではバイリンガルの子どもの脳は、語彙習得に関連する脳の領域である「後頭上回」の灰白質密度が、モノリンガルに比べて高いことが分かりました。
灰白質密度は脳の成長を示しており、学習をしながら脳を鍛えた結果、脳が再形成された(成長した)ということを意味しています。

以下の画像は、5歳から第二言語として英語を学び始めた子どもの灰白質密度です。
(左から:横から撮影、後方から撮影、上から撮影)

Mechelli A., et al. Nature. Oct. 14; 431:757 (2004).

このような結果から、”言葉を混ぜないで学習すること”が母語、第二言語を含めた言語を習得する上での大きな鍵であることがお分かりいただけたかと思います。
そして、そうした環境で成長したバイリンガルの脳には、主に思考や言語理解に関する部分において大きな発達が見られるようです。
これは大きなメリットと言えますね。

特に、幼い時期は複数の言語を同時に発達させることができる最適な時期です。
最適な時期に・最適な方法で、お子さまの英語力を伸ばしていきましょう。